"この美しいプロダクトたちがどのようにして誕生したのか?"
私達ジ・インのクリエィティブ・チームがリリースまでに歩んだ道のりの備忘録として、そして大切な思い出として、ここに記しています。
私達が直面した大きな3つの課題。ジェルネイルを単なるネイル用品から美しいコスメに昇華すること。プロ目線ではなくユーザー目線での使いやすさを追求すること。知識や技術の壁をなくすためミニマルさを追求すること。これらすべてが従来のネイルカルチャーと相反するアイデアだったため、開発は困難を極めました。
私達がまず取り組んだのはカラージェルの開発でした。従来必要なトップジェルを排除しつつ、高発色を実現すること。これによりトップを塗るという1工程、カラーを塗り直すという1工程、合計2工程のミニマル化を達成することが可能です。それには重合光開始剤と顔料のバランス、レベリングなど様々なテストを繰り返す必要があります。それをリリースするすべてのカラーで行うのです。最後のカラーが完成したときの開発チームの表情を忘れることができません。
カラージェルと並行して取り組んだのはベースジェルの開発でした。本来、美しさを担保する持続性と優しさを実現するオフ性は相反する関係にあります。この問題を解決するために、私達はある硬度の高い樹脂からヒントを得ました。この特性を活かし爪の耐久性を補完することで生活における衝撃を受け止めるよう改良し、持続性を高めました。更に爪に優しいオフを可能にするため、樹脂の膨潤性を高め素早いオフを実現しました。(*アクリル酸)
開発の半ば、ユーザーテストを繰り返す中で新しい発見をしました。それは「ひと手間かけてもいいから更に感動するようなツヤがほしい」という声です。私達はこの選択肢があっても良いと判断しました。一方で開発にはプレッシャーがかかります。なぜなら現時点でカラージェルだけでも十分なツヤを実現できており、このアイデアを採用するのであれば、常識を超えた圧倒的なツヤが必要になるからです。様々な実験の結果、私達は表面の凹凸を滑らかにする特別な技術を練り込んだトップジェルの開発に成功しました。
ジェルネイルがコスメティックにならない原因の一つにネイルライトのデザインがあります。古くから変わらない白くて丸いドーム型のデザインを一新するため、私達は建築的なアーキテクチャをネイルライトに組み込みました。それは機能的でミニマルでそして美しいこと。例えば、直線的でマットなブラックの外観に操作ボタンは2つだけ。バッテリーはモバイルで場所を選ばないなど。光と空間を自在に操るためゼロからの高い設計が要求されました。
"ジェンダーの垣根を超える"
それはジ・インの目標です。オムのカラー開発の重要なテーマは、ジェンダーの垣根を超えつつジェンダーらしさ、例えば隆々とした手や爪の形など、これらの要素を加味することです。私達はこれらの問題を解決するため、顔料をできるだけ増やすことで表面の凹凸をあえて増やし、ハーフマットな質感のカラージェルの開発を成功させました。同時にまたよりマットな質感を可能にするため、マットトップの開発にも着手しました。
2022年4月、私達は素晴らしいリリースを迎えることができました。しかし、これはゴールではなく新たなスタートです。ブランドの思い描く世界を実現するために、私達はこれからも限界に挑戦していきます。
FOUNDER & CREATIVE DIRECTOR
CLÉMENT CORDIER